出発!カミーノ・デ・サンティアゴ

NO.2 出発! カミーノ・デ・サンティアゴ




7月4日

  朝6時に起きる予定だったが 夜中2時に誰かの目覚ましが鳴る こういう時 たいていセットした本人は眼を覚ましません そういうヤツだから目覚ましセットするんだけどね! 
その後 何とか数時間寝る事ができ体調は万全。 
朝飯は巡礼者宿のキッチンにて フランスパンにジャムとバターでコーヒーって感じ 標高も高いから山の寒い朝だ 

さあ! そんな中とうとう パト(パトリック)とリバティーと出発です、これから毎日歩き続けます。

 このヨーロッパ特有の家々を横目に歩き始めてすぐ パトリックに「石は持ってきた?」と聞かれた。  「石?」 パトによれば 持ってきたその石が今までの悪い物を取り去ってくれるらしい 自分の自宅の石を持ってくるのが本当らしいが 知らなかった俺はここ出発地サンジャンピエドポートの小さな石を手に取りバックパックに詰め ピレネー山脈に登る事にした。

 この巡礼を歩くのに重要なのが コンパスと道しるべの帆立て貝のマーク これが道の所々にあるなぜ帆立て貝かと言うとサンティアゴは海が近く海産物が豊富で帆立の貝を巡礼した証として持ち帰っていたそうだ それが今では巡礼者である証明みたいになってる。 
 帆立て貝のマークはたまに スプレーで書かれた ただの黄色い矢印だったりもするけど! まぁこれらの目印を頼りに巡礼をしていく もっと昔の巡礼者は月や星を頼りに歩いたそうだ。それと比べりゃ全然楽だよ

 1時間くらい登った途中 みんなでいい景色を眺めながら リンゴを丸かじりして食べた 海外だから丸かじり 日本だったら母ちゃんに剥いてもらってるよ(笑)




あ〜 しかしまぁ〜 今日から始まった巡礼  当然のごとくこの体が "ただひたすら歩く" という行為に慣れているはずもなく 中腹にも辿りつけてないのに太ももが痙攣しだした 筋肉を急に酷使したからだろう ピレネー序盤でここまで追い込まれようとは…

歩くスピードもすごく落ちて足が悲鳴を上げてる だけど 歩くしか…

パト達に迷惑をかけないために ついていけるペースで歩いてたが 山の中腹に差し掛かった頃 疲労と空腹を感じ パト達に先に行くよう伝える こういうのは自分のペースで行くべきだしね。 
 昼食をとる 昨日買ったサラミとチョコクロワッサンを開けて食べ始める そして上って来た道を振り返り 眺める 良い眺めだ!

他の巡礼者は次々と俺を追い抜いて行った クロワッサン2個目を食い終わった時 急に周りに雲が立ち込めて 雨が降ってきた  急いで雨具を装備し食事途中だったが登頂を再開した。
  やはり山の天気は変わりやすく 雨に打たれること1時間弱で再び空は晴れてきた 山の中腹辺りから 牛、ヤギ、馬が現れ始め 草を食べてた その横には彼らの骨もある、羊飼いみたいな番人はいない 放牧ってヤツかな!?  

 フンが山道にも散乱している 体力的にせっぱ詰っているので フンを踏んでも気にしなかった これで少しは運が付いたかな?

 ところが急に周りに霧が立ち込めてきた 

辺りに誰もいない さっき休んでいる間に みんな行ってしまったんだろうか?   

 道しるべもなくて 焦ると視野が狭くなるのか 道が合ってるのかも分からない  自分が危うい状況にいると思い始めた 

  これまで経験した恐怖はだいたいが 一瞬でそれを感じておしまいだった、車に轢かれそうになる時だとか 恐怖感にも大小の違いはあると思うが 俺は長時間続く恐怖には慣れていなかった 誰もいない とり残された感じがして それが焦りになって、霧と雨の中 筋肉疲労の足を急がせる



  怖い

 

小一時間1人だったかな 怖かったから長く感じてただけかもな! こんな時には不思議なもので、目の前の霧に覆われた道から のんきにバックパックも背負わず 観光気分の明るい連中が現れたりする 巡礼者ではない 人に出会うだけで嬉しいもんだよ これすげーな これは感謝すべき事 周りに人がいてくれるだけでイイなんて 普段は気付かない事なんだろ〜ね〜。 

 彼らは高校の生徒と教師で歴史散策でここに来ているらしい 彼らにカミーノの正しい道を尋ね再び歩き出す

 また一人になった  雨も再び激しく降り出した  あまりの筋肉疲労で足に感覚が無い 足に力が入ってるのか 入ってないのか わからない感じ かつてないほどの疲労状態 そんな状態でしばらく歩くと白人の親子(父50歳ぐらい息子15歳ぐらい)が休んでいて 「お前顔色が悪いぞ」みたいな事を言われ 座らされた  

 父親のほうが俺の背中に両手を当て静かになった  息子(名前はモッズ)は英語が多少できるので 俺に説明してきた「これは父が日本人から教わった技だ」との事 胡散臭い!  でも背中が暖かくなって 癒されたという精神が体に影響したのか 体が本当に癒されたのか分らないが 立ち上がり歩きだしたら何故だか体が楽になっていた ホント胡散臭かったけど事実だったからおもしろい! ありがとうモッズとお父さん!

 ホントに調子が良くなった ガシガシ歩いて気がつけば下りになって林を抜けたら 教会が現れた、ここが今日の目的地ロッセンバジェスだった 日はまだ明るい とうとう着いたよ ピレネー越えたよ! 

 ロッセンバジェスはお城のように大きい教会 ここからスペイン領という事は知らない間に国境を越えていた事になる 先に着いていたパトたちと合流し 国境は何処だったんだと聞いてみたが 「今はEU自体が国みたいな物なのでそんなの今は無いもどうぜんだよ」だそうです 国境またいで写真撮りたかったな! まぁ疲労で余裕なかったけど。

 初日にしてすごい筋肉を使ったため筋肉が張っていた、意識してないのに力が入りっぱなしというか、だから楽な姿勢をとるために 石の段に腰かけ 足をゆるめるように力を抜いたら 体もどこまでゆるめたらいいか 分からない状態になってるせいか 危うくおしっこまで出そうになった リラックスはとりあえず用をたしてからにした(笑)

 パトリック、リバティーとは互いの無事と健闘と讃えあい 証明のスタンプも貰い 一緒に教会のミサに参加した  外観大きい割に中は暗い教会だ その教会のプリーストが巡礼者の旅の無事を様々な国の言語で祈ってくれました そして聖体を配り始めリバティーが俺に「あなたも聖体を貰って来なさいよ」と言ってきた ただ貰うだけでいいのにどうしたらいいのかわからず 遠慮してしまった サンティアゴではきっと! 

  そして夜 ここでは初の巡礼者専用のメニューをオーダーした 焼いた魚と豚肉、サラダ、パン、ワインだ、おいしい でも疲労がキツくて食事するのもしんどかった   

 今日の寝床はもとは礼拝堂として使われていたらしく やたら古めかしい石の建物、中は薄暗く鉄製の二段ベッドがたくさんある ダニがいそうだな、 とりあえずここでこの体を休める 今日は初日だけど人生で一番危機を感じた日だ。

↑ロッセンバジェスのアルベルゲ内

7月5日

 6時に起きて歯を磨き にじたくして出た頃には6時半 外は寒く吐く息は七月なのに白かった リバティーはもう既に出発している 人それぞれのペースがあるからな いずれ会うだろう パトとは起きる時間がだいたい同じなので一緒に出発した  パトは学生で26歳同い年 カトリックでさらに好きなバンドのライブまで時間があるので 思い切って決めたらしい  
 そんなパトと朝飯を食うために途中の町ESPINALでバル(スペインのバー)に入りボカディージョ(サンドウィッチ)をたのむがチーズにするかハムにするか聞かれたが分からなかったので「スィースィー」と答えるしかなかった パトも母国語のドイツ語以外 フランス語・英語・オーストリア語などじゃべれるのにスペイン語は全くだった パトと飯をシェアしつつ 朝飯タイムが終了 再び出発。 

 パトは歩くのが早い だからまたの再会を約束し別々に歩き始めた それぞれペースがあるからね。
 とりあえず すっげー足が痛い 昨日の登山中には痙攣も起こしたし サンジャンから始めた巡礼者はきっと同じ痛みをあじわってるはずだ!   昨日は歩くと言うより登山だったからな、たぶんこれから当分は昨日ほどの登りのキツイ山のパートは無いと思う とゆうかそう信じたい!

 リバティーとかは事前からトレッキングが趣味でバンバン歩いてたらしい だが俺は全然練習していなく 水ぶくれができるありさまだ  でも歩く事しかない ピレネーは越えたとはいえ未だに麓の町ではなく山道が続く。


しかしなんで俺歩いてんだ キツ過ぎだよ マジで

 あ〜マジいろいろ見失うは! さてまだ山道途中だが母が詰めてくれた魚肉ソーセージを食う あんま好きじゃなかったんだけどこんな時は不思議とうまい でも飯は食っても 歩き出せば足は再び痛みだす この痛みは当分続くだろうな、早く慣れないかなこの痛みに! 

山の間の谷は麦畑でワサワサ生っていた、収穫時期は近いと思う。 

 午後1時ズビリィに到着 川が流れていたので足を冷やす ほかの巡礼者も足だけは冷やしていた ズビリィで止まるには早すぎると思ったため5キロ先のララソアーニャに向かって歩いた 

 たかが5キロと思ってたが すぐ後悔した 周りには誰もいなく おまけにズビリィで水の補給し忘れた為に水が底をついた 5キロと地図には書いてあったが なんせ初めて通る道不安にもなる。

↑カミーノの道

 人は歩かん様な細い農道も通り抜けやっと街が見えた 

 午後3時頃ララソアーニャに到着 アルベルゲでスタンプをもらいバルに向かうリバティーとパトはすでにバルにいて一杯やっていた 彼らは俺がズビリィで今日は泊まると思っていたらしい ビックリしてた  アルベルゲではアメリカ人のデービッドに会った五十ぐらいのおっさん 日本人とも初めて会った名前はシゲキ  彼らともきっとこれから先に何度か会うことになるだろうけど… あー足が激痛だよ しんどいよ やめてーよ!

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