NO.6 おじいさんが見せたかたち そしてブルゴスへ




7月14日

  起床少し寝坊朝6時半、朝食をもらいにバルへ チョコクロワッサンとカフェドレチェをオーダーした 少ししんどそうな俺を見て 若い女性のマスターは「カミーノはだんだんと優しくなって行くから大丈夫よ!」と言ってくれた お姉さんありがとう  出発!

  何キロか歩いたらパトリックと再会し 喜んだ! そして彼は俺も1回一緒になったおじいさん巡礼者の話をしてくれた。

  このおじいさんは還暦を超えてる年齢でオランダからもうすでに1500キロぐらい歩いているそうだ このおじいさんにとってサンティアゴまでの残りの距離なんてのはほぼおしまいと感じているかもしれない
  このおじいさんは日が沈むまで歩き日が沈んだらその近くの公園や強いては野っぱらでで寝たりする巡礼で タイミングが合わなければ アルベルゲに無理に泊まろうとはしない人だった

  数日前そのおじいさんは自宅のおばあさんに電話をかけた、そしたらそこには帰省していた息子夫婦とその娘が遊びに来ていた、おじいさんは孫に変わるようにとおばあさんに言い、おじいさんは孫にこう言った「元気だったかい?」孫は「元気だよおじいちゃん」と答える そして孫はおじいさんにこう言う「おじいちゃんは何で家にいないの?何処にいるの?」と   おじいさんはこう答えた「今おじいちゃんはスペインという所で巡礼しているんだよ」とそして孫は聞き返す「巡礼って何をするの?」おじいさんは答える「遠い大きな教会めざし歩いて 日が沈んだらその近くの寝れる場所で寝るんだ」と答えた

  そしてさらに孫娘はこう言った 

  「おじいちゃんそういうのはキタナイから帰ってらっしゃい」と、その一言で、おじいさんは何のためらいもなく「わかった」と言って次の日バスで帰ったという

  この話を聞いて、俺の中に"ドシッ"ときたと同時に俺は思い知らされた

  それはこのおじいさんが、カミーノは、そんなに無理にサンティアゴまで行かなくてもいいんだぞ そんな無理に歩かなくてもいいんだぞ! って言ってくれてるようなそんな出来事だった 

  大概の人は今まで時間をかけ 辛くも続けてきた事が終わりに近づいてきたら それを最後まで終わらせようとする 100%にしようとする でもおじいさんはあっさり孫のために帰った ゴールは目前なのに 

  既に1500Km以上歩いてる者にとって 残りの500Kmなんてほんの少しのはずだ このおじいさんの行動は俺にもう1つのカミーノの形を教えてくれた
 クイズじゃないけど、もう1つの正解を見たんだ  これを知って俺は、今自分がやっている事は、たいして大きい事ではないというのに気がついた! 足は痛いけど楽になったよ。

  

  さてさて 歩きづつけてサンジャン・デ・オルテガ到着もうすでにそこには リバティーとスイス人のジョシュ達がいた ここはすっげー田舎 夕飯調達に困りそうだな どーすっかな! 隣町まではここから4キロある 前までなら泊まるにはいい時間と距離を歩いた、という事にして泊まったかもしれないけど  もう さらにプラス4キロなんて、今では大したものではなくなっていた パトからいい話を聞けたからかな! 
  リバティー達にはブルゴスで会おう言ってオルテガを後にし次の町に向かう 森を抜けたらそこは少し高台で 下り坂の下にすぐ街が見えた。 坂道を下りながらゲームのドラゴンクエストの世界のようでBGMが頭の中を流れる 気分は上々!!、そしてそのままアヘス到着!! 

  3か所アルベルゲがあったが最初に選んだ場所のスタッフのお姉さんが英語を話せたのですぐ決めた そこでカールというオクラホマ出身のアメリカ人巡礼者(22歳)に会った 俺の留学先もオクラホマなので話しをしたが 俺の英語不足プラス彼のドモリ英語でなかなか会話は難しかった、パトとの方が楽に会話できるぞ でもそんなカールは、アメリカ人ほど社交性のない俺を飯に誘ってくれた 他のアメリカ人カナダ人がいて あいさつをして飯を食べる、カールは野菜を一切食べません 弾いてましたトマトとパプリカ 俺は注意し「体に悪いぞ」と言って食わした  

  そう! ここは何かと焼いた肉が出てくる胃が大変だ ここの宿のおばちゃんがデザートは私特製のオレンジにスペシャルソースをかけたものを勧めてきたのでみんなで頼んでみた がこのスペシャルソースがとんでもなかった  辛い! 辛いアルコールの入ったソースだったこのおかげで オレンジがとても辛かった、舌と口のまわりが痛くなったのでみんな解散 ベッドに戻り今まで歩いた距離を確かめる、もう全行程の3分の1は終わっている半分をすぎるのもすぐだろう  がんばれ よしお明日はブルゴスだ!



7月15日

  今日は5時半に起きた早いが朝暗い中出発!  ここまで早く出発したのは初めて 道は全く見えない 暗すぎる 日本から持ってきた小さい懐中電灯たよりに矢印を探す前の方暗闇から英語で「だいじょぶか〜?」だれかを心配する声俺は「大丈夫だー」と返事をした、あっちもこちらもお互い暗すぎて誰かわかってないが 巡礼者同士のきづかいだ! 手探りで歩き続けだんだん夜が明けてきた

上り坂を越え丘の上に立つと遠くに今日の目的地ブルゴスが見えた

  丘の上からまっすぐ先に行けばブルゴスに着きそうなのだが このカミーノは丘を下ったあたりから大きく左にそれ、違う町につながっていた 一筋縄ではいかないカミーノ!
  
  高校生ぐらいのスパニッシュ3人娘が現れ彼女らの歌を聴きながら歩く そこでジェライ、フェルナンドと再会、更に同い年ぐらいのスパニッシュの女性もいた  
 ジェライは相変わらず歌います 彼はDon’t worry be happy という英語が好きです 俺が疲れると 彼は「Don’t worry」と言ってきて、次のbe happyを俺に言わせます  俺がbe happyと答えると彼はにっこり笑い自分の歌を歌いだします 相変わらずうまくも下手でもない、けどこれがとてもいい感じ! 
  そんなジェライがおもむろに立ち止まり道端に咲いてる花を取り、もう一人のスパニッシュの女性に手渡した自然な感じで 日本ではなかなかできないけど、ここだと絵になるな。 

  体はだいぶ慣れたとはいえ 通常で俺は歩くのが遅いそして気がつくと俺はジェライを見失っていた、途中で分かれ道があったらしい 
 もうすでにブルゴスの町に入ってはいるのだがこの街はでかい 場所がわからないでも大概アルベルゲは町の中央にあるから大丈夫だろう! まだ入り口付近なのに疲れてきた、多分アスファルトに変わったせいだろう 都会だけあって巡礼者を見ても反応する人は少ない 貝のサインを探すのも難しくなるが手探りで歩いてても カテドラル(大聖堂)には着くもんだ、カテドラルは中に入れたのだが あまりに疲れたから ここでは外観を見るだけにとどまった

  ブルゴスのアルベルゲは森林公園のような大きな公園の中のログハウスみたいなとこ、パトとは入り口で再会し一緒にアルベルゲのスタンプを押してもらった
 やはりここでも今まで会ったほぼ全員と再会! カルロス夫妻とも再会 二人はここで巡礼は終わり また来年ここからスタートする、ブエンカミーノ!(良いカミーノを!)
  夕食は再会を祝ってリバティー、パト、カールさらに新しくその連れレベッカ(カナダ)ヨハンナ(オーストリア)チャールズ(カナダ)とバルで飯を食う つってもここは巡礼者用メニューは一切なくイカリングフライやポテトオムレツなどバルの昼間でもあるメニューですました
 チャールズは高校を出たばかりで卒業旅行でサンティアゴに来ている レベッカは無茶苦茶しゃべるのが早い ネイティブで早口は俺のレベルじゃ無理でしたでも 彼女の話したカールのエピソードは大体わかり笑えた
  その話はカールが1人でバルに入った時だ 注文をして椅子に座り待っていると 奥の男がカールをじっと見て、その後近づいてきて隣に座り  カールの腕をさわり始めた、そしてカールはそこがゲイバーだと分かり逃げて来たという話だった このエピソード以降レベッカは、からかいがてらにカールをゲイ扱いしている。  

  アルベルゲに戻り リバティーが「明日はここに留まるの」と言いだしたなぜなら彼女は足に直径5pぐらいのでかい水膨れができていたからだ 彼女はブルゴスで静養をとるようだ(基本アルベルゲは連泊できないが理由があれば例外だ)、

  外のテーブルでみんなとのんびりしてると、そこに韓国人の学生8人ぐらいがぞろぞろ集団で現れた、俺は韓国人の友達が何人かいる 韓国人は好きだ だがこの学生達の状態は気に食わない 先日会った韓国人のヤンジュさんもいたので話した  いつでも集団、1つの国のようだ こんな感じでは誰も彼らに話しかけはしないだろう。
  こんなんでその国にきたとは言えるのだろうか? 俺はこういう人間は日本人であろうとも 嫌いだ 最悪こういった集団というのは他国で自分たちの国のスタイルまでも主張しだしたりする 一人で行くからこそ自分のスタイルを変えられるのに  受け入れてもらえるのに…   俺も気をつけよう。

  日は陰り始めたが 日が長いからアルベルゲの外のテーブルでみんなと語り合う  お互いの国の事 始めた理由 道中よぎった後悔 やっぱりみんなも後悔していた「なぜ私は今こんな所で歩いているの? この決断をしなければ今頃は自分の家で暖かいスープでも飲んでいただろうに!」とみんな同じ様なことを考えていた
  そしてみんな日常のありがたさを知ったんだ 更にそれを気にせず過ごしていた事も、「あん時はしんどかった!」 などなど まだ終わっていないのに! みんな笑顔で語った これを見て明日もみんな無事に歩き通すに違いないと思えた。         寝るとき初めて藪蚊に悩まされた

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