NO.7 ハンタナス大宴会!!




7月16日

  六時起床! まだ真っ暗でもみんなは起きてる 小型懐中電灯で忘れ物がないかを確認して出発!
  天気は曇りブルゴスの町をぬけ10キロも歩かぬうちに雨 急いでバックパックと自分に雨具を装着して 再び歩き出す、雨に濡れてる麦畑、空は曇りだ、普段は大きく爽快な大地なのにこういう時はやっぱり重たい感じがする 
  途中の町 タルダホスの商店にて食糧を買う、店の親父は椅子を持ち出して座って雨宿りしていけと言ってくれた 椅子に座った俺とスパニッシュ娘リタとアンナ(たぶん年上)彼女らは少しの英語しか喋れなかったが、俺にグミみたいな食べ物をくれた意外と美味しい ありがとうリタ グラシアス! 

  雨の勢いは弱まり ブルゴスから次の大きな町レオンまでの間は、200キロ弱、その間は平坦だとジェライは言ってはいたが そこそこきつい上り坂や下り坂はいくつもあった もうずーっと麦畑 見飽きるほど麦畑もう20キロ以上歩いている。 この道カミーノは、丘を越えるたびに景色が広がり街が見えるのが心地よい瞬間なのだが 今回の丘は違っていた見えた景色は

  2時間ぐらい前に見た丘からの景色と変わらなかった 心の中で「まだなのかーーー」と叫んだガクッリきたが歩く事しかできず、進む、 おそらく町まで残り10キロ弱 雨はほぼ止んだのでラッキー。 

  たぶん今俺の半径1キロ以上 人が全くいない状態になってる、これ見逃しに俺は松山千春を歌いだした 周りには誰もいないし何もない だれしもが歌いたくなるそんな場所だ でも歩いても歩いても変わらない景色 前方を見たけど、どう見ても街はない 

  絶望する  

  それでも歩くことしかないから歩く  8kmぐらい歩いただろうか そしたら道が下りだし、下を見るとそこにやっと次の町があった 小さな谷にこのハンタナスはあって上からではただの水平線で見つけることは出来ない小さな町だった イヤーだまされた、そして安心した 
 ジェライ達はもうすでに付いていた早いなやっぱり 聞く限りこの街に商店はないそんな素朴な街 あるのはバル込みのアルベルゲ しかたないのでこのバルでポテトオムレツを食う

  ジェライ達に教会へ誘われ石造りの古い教会の中に入る 写真でよく見たりするような煌びやかな教会ではない、でも静かで荘厳 長い間この小さな町の人々の祈りを聴いてきたのだろう。 

  ジェライが教会の外に出ると言った 「きっとサンティアゴ大聖堂の前に立ったら俺は泣いてしまうかもしれない」と  俺はどうだろう?! 泣くのだろうか? 何を感じるんだろうか?

  アルベルゲの前ではデービッドとヤンジュ、リタとアンナ更に歌が大好きスパニッシュ三人娘 など計20人ぐらいが、輪になり酒飲んでます俺とジェライも輪に入るジェライがビール大ジョッキをおごってくれた ビール普段は飲まないが、こういう雰囲気だと不思議といい感じで飲める
  日本にいたというスペイン人と話したり(英語で)ジェライに日本語教えたり、酒も入りイイ気分歌好きスパニッシュ3人娘が昔からあると思われる民謡を歌いだす 周りのスパニッシュも知ってる歌だから、歌いだすみんな大合唱! 1人が歌いだしたらみんなも合わせて歌いだす 今まで歩き見てきたスペインの雰囲気を感じる歌だ  まだ空は明るいし 心地いい キツイ思いで歩いてた事を忘れてしまう そんな雰囲気
 歌が終わるとジェライはみんなに聞こえるようにこう言った「次は日本の歌だー!」

 すごいフリが俺にきた

 デービッドやヤンジュを含めみんなが「おーー」ってなった 歌わざるおえない状況  意を決し俺は小林旭の熱き心にを歌いだした しかも目を閉じて(何故だかはわからない)

  もり下がったよ   まぁしょうがない 彼らは知らない歌だし! 下手だし!
  しかし俺の後に歌ったカルレス(スペイン人)がとんでもない歌声だったオペラ歌手かと思った 聞き覚えのある英語の曲とかみんなで大合唱!ジェライ大喜び、コイツのおかげだ この時間をありがとうジェライ



7月17日

  今日は珍しく朝から寒気を感じるほど冷えていた、天気は曇りだ ジェライ達はすでに出発したみたいだし  朝食はバルで買ったチョコパンをたべ、出発! 昨日と変わらない乾いた感じの麦畑相変わらず殺風景 

  するとキツネっぽい生物が道を横切った  自然のキツネは北海道で見た以来だ、

  この後からやたらとネズミやウサギの死骸を見るようになる あのキツネの仕業かな

  次にはウサギがカミーノの道を横切って草むらに消えた さらにもう一匹俺が近づいてくるのを察知し瞬時に姿を隠した キツネや他の外敵から身を守るための本能、まぁ生命なら当然の事だけどね
 

  10mぐらい先の道の真ん中にまたウサギが見えた、通らざるおえないので近づく、彼は逃げない5m、3m、1m余裕で捕まえられる範囲内 近づき、気づいた  彼の両目がつぶれている事に 鼻をヒクヒクさせ餌を探しているようだった 草むらには隠れず道の真ん中で 他の野生ウサギと比べ彼は明らかに無防備だった 盲目の為に自分の置かれている状況が理解できたいないようだ でも俺は歩き続ける 
  があのウサギの事を考えていた あの状況じゃキツネの餌になるのは目に見えている そして俺は憐れみか罪滅ぼしか わからぬ感情のまま立ち止まりバックパックの一番底にある取り出しづらいビスケットを取り出し 道の端に置いた 自然に手をかしてはいけないのは判っている 下手をすればこの行動が場をより悪化させる事にもなるかもしれない ウサギは助けキツネは助けないという事にもなるかもしれない 俺はこの道で意味を見い出すには難しい行動をとった

  

  

  歩き続けて 空は晴れ 

  途中の町カストロへリスに到着! ここは丘の上に城の廃墟がある イスラム侵攻の対策だろう  ここのバルでボーカディージョ(ハムアンドチーズ)食べた、歩き始めまた上り坂上がりきると上には公園があった

↑公園からの眺め

  いい景色 リンゴをかじり 一休み、そしたらパトが下から上がってきて パトにリンゴをやって一緒に食う、さらにそこへカップルが上がってきた アンナとグレッグに出会う、グレッグのバックパックはやたらとデカイ重そうだ 少し坂で疲れたグレッグの表情を至近距離で激写するアンナ 愛する人のかわいい表情を見た為かアンナは「ウフーン」と変な声をあげていた 東京のど真ん中だったら変な人扱いだぞ!  

  その後 さらに途中の町Puente Fitero San Nicolasでチャールズとも再会 3人でお互いの家族の事を話しはじめた 
 パトリックのお姉さんはドイツで軍に所属していてアフガニスタンでアメリカンフォースと共にテロリストのせん滅にあたっているとそしてパトリックは言った「今イラク問題で騒がれている中 どれくらいの人々がこの事実を知っているのだろう」 今はみんなアフガニスタンではなくイラクに注目してるからね 
  日常では分からない事がある 少なくとも日本で黙ってテレビ見ているだけじゃ この事は知らずにいただろう 日本のニュースだけ知ってても 足らないんだよね。

  今日の目的地 Ltero de la Vega到着パトたちと一番初めに見つけたアルベルゲが清潔そうだったからここに決めた、ベッドは2つだけだが、床にはマットがあり俺はそこを選んだ、さらに初めて会うスペイン人のエダが入ってきて多国籍部屋だスペイン・ドイツ・カナダ・日本!
  洗濯も済ませ部屋に戻ろうとしたらカラール、レベッカ、ヨハンナが現れみんなで夕飯を食う約束をした場所はカール達のアルベルゲでとても安いメニューが6ユーロだったが 安いだけあり明らかな冷凍もの  そして話はレベッカに起きたカミーノでの出来事になった

  それは彼女が外のベンチで休んでいた時 スペインの男にナンパされ言い寄られ、手を握られ熱いまなざし しかもその男はその握った彼女の手を自分の股間に押し当てたという レベッカは悲鳴を上げながら逃げたそうだ レベッカは机をコンコンとたたき「彼のあそこはこんなだったわ!」といった
  さらにレベッカのエピソード アルベルゲで朝起きてカールに朝飯代りに昨日買ったバナナをちょうだいといった、カールはバナナを探す レベッカは靴をはきそのひもを結ぶために屈む カールはバナナを発見し相手をよく見ずにレベッカの方に差し出す 差し出したバナナの柄は レベッカの目に突き刺さる レベッカは笑いながら「それが私の朝ごはんだったわ!」とアメリカンジョーク!
  みんな飯も食い終わり部屋へ戻る 毎日平均30km弱 なれはしたが相変わらず足痛てー  こりゃ歩くのやめない限りつづくのかな!?  



7月18日

  朝4時頃かな? 目が覚め 目をあけてるのに 開けても閉じても同じだった、見えるは黒だけ 昨日のウサギがすぐ思い浮かんだせいか 焦った失明したかと思い辺りを見回す隣で眠るチャールズの顔さえも見れない 目の前に手をかざすそれでも見えない異国の地で失明したかと思い、おれは枕の下においてある腕時計を取り出し蛍光塗料の部分を見た 光って見えた 部屋がただ完璧なまでに光を遮断していただけだった5分ぐらいパニクッていた。 

  「ウサギ、俺になんか伝えたかったのかい?」 なんて俺色々過敏になってるかな。

  朝早く起きた為みんなより早く歩き始める、川沿いに歩く、日本を思い出し友達との思い出を思い出す、が気がつくとそれは友達への不満になっていた 友人の悪い所を分析するようになっていた [アイツのこういう所どうにかなんないのか!]とかである 相手のムカツク点などをしばらく考えたところ
  ふと 考えの流れが変わった 今まで考えてた相手の悪いところ これが自分に絶対に当てはまらないかというと そうではない事に気がついた 相手の悪いとこを見つけるのは簡単だけど、 自分自身の悪い所を見つけていくのは難しい 自分を完璧とは思わず 常に変わりゆく自分とその周りとの関係を考え続け判断する事 大事だね ホントいろんな事考える、歩くという単純な動作だから 脳はフル回転だ! 

  道の両脇に道しるべとしてある貝殻のモニュメントがいっぱい現れた今までは数キロおきに1個しかなかったんだけど、短い距離にいっぱい現れたしかも2本づつ

  もちろん俺はこの2本の間を通る とゆうかこんなの見たら通らずにはいられない!何キロかこれが続いて、公園にたどりついた 小さな公園に大きな木がたった数本生えていて大きな日陰を作っている、ここで休息を取ることにした 

  この木は日陰を作り今までたくさんの巡礼者を休ませ癒してきたんだろう カミーノ巡礼者を見守ってる気がした  出発。
  今日の町Villarcazar de Sirgaにてアルベルゲを発見、中から50歳後半の愛想のいいおじさんが出てきたスタンプを押して ご丁寧に俺の荷物を上まで運んでくれた 優しい人だ! 早すぎたせいか部屋はガラガラだった でも今日はすでに29キロぐらい歩いているので今日は終了 

  ここは今回二回目の募金制アルベルゲ  おじさんは俺に作った料理をくれたそれは どう見ても皿に盛られたウ○コだった すごい見た目だが パンに塗るとこれがまた旨い 肉と何かをとけるぐらい煮込んだ感じの食べ物だ おいしい。
  1時間弱ぐらい遅れてパトやカール、レベッカ、ヨハンナがついた今回初めてパトたちより先に着いた、歩くの早くなったかも!  

  ここのアルベルゲのシャワーの温水は有料なのは良いんだが、待てども全然出てきません、まぁ海外ではよくある事だし 気合いを入れて真水シャワーを浴びる、冷たい 。 
  シャワーから出ると次の巡礼者にバトンタッチ、そしたらアジア系の女の子2人が一緒にシャワー室に入って行った、  みんなが言う「こりゃあのアジアンガール二人は、中で洗いっこしているな!」とそしてカールは俺に聞いてくる、「あれはアジア圏では普通の事なのか」とそして俺は答える「もちろん普通の事ではないよ、彼女らはきっと特殊な人々なんだろう」とカールは納得していた、
  そしてカールはレベッカを からかってこう言った、「レベッカお前もヨハンナと一緒に入れよ」  レベッカは答える「それかなりイヤラシイわね」もちろんレベッカ、ヨハンナも違います、そんな彼らが飯に誘ってくれたが今日は自分で用意することにした、インスタントパスタだけど例のおじさんの料理と共に食う。
  パトが寝る前に言った俺らもうすでに半分過ぎたよと、俺の計算だと明日が半分なんだけどまぁいいか 就寝だ





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