NO.9 レオンを過ぎて、初の怒りの感情でもその矛先は…





7月21日

  やはり6時起床、歩き始める  しかしすでに400Km以上歩いているんだけど、人の足は丈夫だね、よく歩いてくれるよ 俺の足。
  うまく言えないけど、ただ歩いているだけで、その時が充実してくる、こういう感じだとゴールした後の帰国までの余った時間、相当つまらないものになるだろうな、こう思えるほどなぜか充実している。

  途中の町で休憩 親子を見た、母と男の子3歳か4歳ぐらい、その子は母親の膝の上でカワイイしかめっ面で首を左右に振っていた、何かダダをこねてる感じだ、ほしい物でもあるのだろうか? 
  母親はそれをただ優しくあやしていた、 この光景を見て お母さんは大変だと思った、そしてその瞬間、自分もこうであった事に気づく、よくダダこねてたから 
  自分が母の無償の愛情のもとで育っていた事に気づき、 つくづく思う 

  お母さんの子供でよかった。

  今日はヴィジャレンテにステイ、明日にはかなり大きな町レオンに着く予定だ。



7月22日

  六時やっぱり起床 やはりまだ外は暗い ヴィジャレンテから レオンまでたった10キロちょっとだ 今では苦にならない距離 暗い中きょうも出発! 4キロぐらい歩いただろうか、あたりは朝日が照り空はピンク色になった、その空に十字の形の飛行機雲がキレイに残っていた、 今日は何か起るんだろうか

  だんだんと周りが都市の郊外みたいに栄えはじめ高速道路と並行する形となった、 このカミーノと高速道路の間にある金網には、木でできた十字架がうまく組んであった、巡礼者が残したものだ、俺も短い木を拾い、十字架を作り先へ進んだ 

  見晴らしのいい場所に出て、そこからはレオンの町が一望でき中央にはこれから向かうカテドラル(大聖堂)がみえた。
  鉄道が走り、大きい街だから警官もいる、思わず「オラ!」とあいさつ 彼らも返事してくれた マドリッドと比べたら治安はいいほうだろうから、警官もゆったりしてる感じ 町の奥へ突き進み、朝9時頃にレオン到着! 

  人だらけで大きい町だから場所が分かりにくい 街の中を歩いていたら 明らかに旧市街と新市街の境目らしい場所 街の中にいきなり城壁が現れる、恐らくここからが歴史ある旧市街なのだろう! 
  朝9時過ぎてるのに街の雰囲気はまだ早朝6時ぐらいで、まだ活動時間ではない感じがした、今日は休日かなたぶん?! 俺が曜日の感覚はとっくに無くしている 笑 

  町の中心になるにつれ土産屋やカフェみたいな食堂が続くやっぱデカイわレオン、さらに通り抜けたら カテドラルだった

  中に入り、祭壇の前で座り、父母の無事と姪っ子の無事の誕生を祈った
  何分かキリストを眺めていたらプリースト達が現れ、ミサが始まった、スパニッシュだから全く分らないが、説教をしている ‘きっと良い事言ってるんだろうな’そしてプリースト達の歌 少し悲しい感じで厳かな歌声  不思議な気持ちにさせられる 祈りの後に、周りの人と握手や抱擁し合い ミサは終わった。

  まだ午前中だし 止まるにゃまだ早い 当然歩くぜ!  レオンは大きな町で出るのにも時間がかかる、途中腹が減り、トルコのケバブ屋を発見し腹ごしらえ、ヒゲオヤジにケバブとポテトフライをオーダー、昔トルコにも行った事があるから、みょうにご縁を感じます、うまいよ、なつかしいよ ヒゲオヤジ!  トルコにいた時、もしかしてたら、町ですれ違ったりしてたのかもな!  
  またな オヤジ!

  レオンの後の Trobajos del Caminoで不思議な家を見た、それは小さな山に掘られた家

   ロードオブザリングのホビットの家みたいに大地と一体化してるような家 上から見るとこんもりもり上がったところから、煙突がひょっこりと出ている 逆側から来たら平気で人の家の上に登る事になるすごい立地条件だ!


  ずいぶん歩き、町を何度か抜けた 今日泊まると決めていたジギャダンゴスデパラモ はまだ見えない 

  出発の時にもらった地図が間違ってるらしい 

  どう見ても表記されてる以上の距離を歩いている  

  町はあるのだがアルベルゲは無い

    もう気が狂いそうになるほど真っすぐな道で

  建物が見えてるのにたどり着くまでの体感時間がやたらと長い

  体中にストレスが溜まり

  誰にぶつけていいかわからない怒りがこみ上げる

   今までは午後3時には宿に着いてたので、6時に迫りつつある事に焦りが出てきた ‘いつ着くんだ’と頭の中で何度も繰り返す 

  この旅で恐怖や感動はあったが 怒りみたいな物は全然感じた事はなかった この怒りは人に向けて怒っているのとは違し、なんだろう… 世界に怒ってるのかな “なんでそんなに遠いんだ”って 

  でも足は歩き続けてて、ぜんぜん止まらない、歩いて歩いて 怒るのも疲れ果てて、うすらうすら歩いて目の前にようやく目的の街が見えてきた
  いつもの地図では25キロ、もう一つのしまってある地図では35キロ弱で距離を間違えてしまってた、  とゆうか俺の見間違いだった 

  僅かな間違いで予定より多く歩く事になり、しんどくなり、怒り狂った、まぁこんな未熟者です、 聞いた話だと女性二人組が一日で44キロ歩いたと聞いてる、まだまだだな俺は! 

  レオンと比べたら小さな町だ、アルベルゲの受付は若い女性で、俺が遅めに着いたから、他に誰か後ろに見たかとそわそわしてる感じで聞いてきた、今日は早くあがりたい日なのかな?! 

  ベッドも決めて洗濯してたら、ピレネー山脈で俺を助けてくれたモッズ親子に再会、モッズの親父は英語は話せないけど俺に“飯は食ったか?“とか会うたびに気にかけてもらっている、優しいおじさん愛情の塊みたいな感じがする!

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