NO.10 別名 虹色のカテドラル アストルガ!





7月23日

  朝から雲行きが怪しい 出発20分ぐらいで雨に降られる 空も暗く、雨の降る勢いは強い、雨宿りできる場所の無いただの国道沿いのっぱらを突き進む、不思議と誰にも会わない、みんな雨宿りしているんだろうか? 
  雨の中俺を追い抜くトラックのあんちゃん達はエールを込めてクラクションを鳴らすが、俺は右手をあげて応えるのに精一杯だ 声をあげても雨音で消されるよ あ〜しんど! 

  次の街がかすかに見え始めるあたりで雨が弱まった、そして初めてとても大きな虹を見た、その虹はウソみたいにキレイなアーチでカミーノの道をまたぎ大地から大地へつながってる 途切れの無いゲートのような虹、俺を向かい入れてくれるような、俺はその見事な虹の下をくぐり先へ進む ホントにカミーノはいろんなものを見せてくれる、スゲー道だよ

  雨は完全に止み俺は途中の町ホスピタルに着いた、この街は横に川が流れていて橋を渡って街へ入る形になっている、とてもきれいな街

  ここにもステイしたかったけどまだ午前なので止まるに早すぎる、商店で果物やパン インスタントパスタなどを買い 20km弱先のアストルガへ出発

  乾いた大地と牛のくそ 農家の前を通過して、木がいっぱい植えてある畑で作業をしているおじいさんに「カミーノはここの道で大丈夫ですか?」と話しかけてみたお爺さんは、そうだよここをまっすぐ行くんだよとみぶりてぶり教えてくれた
  そして俺に頑張れよという感じで畑に生っている、押しつぶしたような変な形の見たこともない小さなリンゴをくれた、俺はカミーノを歩きに日本から来たんだと言った、おじいさんは俺に「そうかそうか」という感じで聞いてくれて、「ブエンカミーノ!(良きカミーノを)と言って」見送ってくれた 
  ホントはカミーノの道は大体合ってるとは思うんだけど、話しかける口実として、尋ねただけ ただ、話したかったんだ      

  ありがとう

  それから何度か小さな山を越えて その頂上からは今日の街アストルガが見えた、結構大きめの町だ

  坂道を下り手前にある途中の森林公園でかくれて野糞をし、再び坂道になる、ここアストルガのカテドラルも丘の上にある、ここもイスラム教徒からの弾圧を少しでも避けるためだろう、巡礼者にはキツイ坂道だけどね。

  ここのカテドラルは違う色の石で出来ている部分部分で石の色が違っている、修復の際 石が不足して変わってしまったらしい、昔と同じ色が見つけられなかったのだろう。

  今日はこのカテドラルの前にある、アルベルゲに決定、シャワーを浴び足のケアをしてたら、巡礼者のおばちゃんが俺を見るなり驚いて「日本人か?それともフィリピン人か?」と聞いてきた俺は「ハポン!(日本人)」と答えたらおばちゃんは嬉しそうに「あのフランシスコザビエルが行ったハポンね!」と喜んだ、きっと初めて日本人を見たのだろう スペイン語だからよく解らないけど、日本人もそんないないだろうから、おばちゃんにとっては、未知との遭遇だったんだな、凄いよろこび様だった。

  アルベルゲを出て町を散策、ガウディー作の屋敷を見てカテドラルへ

  旅の無事と家族の無事を祈る、今日は中華料理の店を発見し、この旅初のアジアの飯をたべる、今まではパスタや焼いた肉とかしか食べてなかったから、野菜と鶏肉の炒めものとかは、しみこむ旨さだったね。

  今日も無事に旅を終えられた、感謝しないとな  



7月24日

  今日も出発、もうこのあたりは、序盤のナバラ州の乾いた感じの麦畑と比べかなり緑豊かだ、気がつけば緑に囲まれていたりする、土地が変わるほど歩いたのか。

  この痛みも含めた ”歩く” とういう行動がかなり普通になってしまったせいか、自分がどこを歩いているか分からなくなってて、スペインに来ているという感覚も、すっ飛んでて ただ景色が眼に映る光景が福島の田舎に似てたから 婆ちゃんの家の周りを歩いているように思えていた ぼーと歩いてた  

  ぼーとしてたけど今回は迷わなかったよ、ホタテガイの道しるべもあるし。

  バックパックが肩に食い込むから手を添えながら歩く 今日は1300mぐらいのレオン山脈を登らなければならない、もうかなり上り坂を上ってきてるけど、同じ1300mぐらいのピレネー山脈の方が何倍も辛かった、今は体力的にはかなり楽になっている 変な言い方だが しんどいけど余裕って感じ!

  午後になり、途中の村で休むことにした、既に村のバルでは7人ぐらい店先にてテーブル囲んで、わいわい巡礼者が騒いでいる、俺は彼らに招かれ輪の中に入る
  彼らはグループではなく、たまたまここで出会っただけだそうだ、国籍は様々ブラジル、フランス、イタリア、スェーデン、オランダ、イギリスと 多国籍、彼らと飯を分けいあい仲良くなる、特にブラジル人のブラジルは、ノリが良い女性でカポエラを教えているらしい、とゆうかブラジルというのが人の名前だったとは初めて知った
  彼らもこの先の山頂の村フォンセバドンで今日はステイするらしい、彼らとそこでまた再会を約束し、レオン山脈の上を目指し再び登りだす。

  もう1000mは余裕で越している、少し平らな道になったから、後ろを振り返る 巡礼初日のピレネー山脈なんて見えるはずもない とうの昔に追い越した!   でも今まで 歩いた距離なんて、地球儀で見たらほんの僅かだろうな。

  振り返った景色↑ ピレネーなんて見えもしねー とうに追い越してやったぜ!

  フォンセバドンは標高1300mあたりにある村で、この標高のわりに家が何件もある アルベルゲで さっき出会ったブラジル人のブラジル イギリス人のエマ、スコット フランスのローラ イタリア人 アンナ と再会 

  みんなと山の上には珍しいシャレた店で、多国籍食事会 鹿のシチューや豚のソテー 焼き魚に ワイン など飲み食い、語るは互いの職業や 年齢 歩く理由 カミーノを何で知ったか どこからスタートしたかなど 各々答えは違うが ここでは  同じ物を目的として、同じ道を歩いてる そういった者同士 どこの人間だろうが カトリックだろうが プロテスタントだろうが 関係ない ただ今が楽しい 

  最後のしめに キツイ酒 チョピトーを飲んで みんなと外へ 山の草っ原へ出る そこには草を食べてるヤギ数頭とそれを守るかのように、大きな犬が横たわっている、 日本の犬とは違う雰囲気 落ち着いてる感じ 紐につながれていない 犬が自然の中いる事が爽快だ  

  数人の酔っぱらいでその犬をなでまわした。    



7月25日

  起床 同じ部屋のブラジル達は 今日テンプル騎士団の街ポンフェラーダが目的らしい でも各々 別々に出発した、ポンフェラーダでまた会おう! 1時間ほど歩いたら 写真でもよく見た 鉄の十字架についた 

  ここは石を置くと願いを叶えたり身を清められたり、ありがたい十字架 いろいろなメッセージや写真などが残されている カミーノで多くの人が 何かを望み、歩いた証だ。

  標高1000mの山道が続く 途中の町マンハリンでは、小さい掘立小屋でアルベルゲを管理しているおじいさんが二人  俺を見るなり「ハポン!、ハポン!」と言って 興奮しながらよってきた 何日か前に日本人が来たんだぞと言っている、休んで行けと言ってくれた小屋の中に入ると、中には白いオオカミ犬のような犬がいた
   おじいさんたちにコーヒーとビスケットを貰い 食べていると、その白い犬が俺の前でお座りをして、ただじっと俺を見てる、しっぽさえ降らない、この落ち着いた  精悍さは、見た事がない  
  まぁそれでもビスケットが目当てなんだけどもね、だけど雰囲気が日本と全然違う 山という環境だろうか  あまり人間に依存していない感じがする、日本じゃワンワン吠える敵意むき出しか クンクンとシッポ振って寄ってくる感じだけどなんか中間的な 凛としてる犬の魅力に、魅了された。

  気のいいおじいさんたちにもてなされ、元気が出て出発。 

  下り道からの景色が最高だった 

  この山を下り、今日は少し観光地化されてる町、モリーナセカでステイ。 結局ポンフェラーダには着けなかった。まぁまた ブラジル達と会う事もあるだろう。

  序盤にできた足の水ぶくれも、大丈夫だ  ここのアルベルゲは珍しい 鉄製の二段ベットが、2階建てのログハウスを囲むように、外にいくつも置かれている、外だよ外! 野ざらし 吹きっさらしだよ! 嵐がきたら大変だ!

  明日からはスローペースにしよう! 明日で残り200Kmを切るだろう 序盤なんて、もう二度とやらないって思ってたのに

  今は終りに向かっているのが惜しいと思う時がある。

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