NO.14 来たよ サンティアゴ



8月7日

 6時起床 とうとうこの日が来た! サンティアゴまでの残り20km4時間ぐらいで着く 休む時間を入れたとしても お昼頃には着いてしまうだろう   ここまで来て ”着いてしまう” なんて思っている!(笑) まあいいや ゆっくり行こう 
 この巡礼の目的は当然サンティアゴ大聖堂だけど フェニステレまでのプラス100キロがあると考えると少しうれしくなる   道にサンティアゴが近い事を意識させるモニュメントなどがちらほら出てくるようになった

  ここまで来て思うのは、この1ヶ月間 本当にイヤな事なんてひとつも起きなかった事だな 確かに食中毒になったり 序盤 自分ひとりが心の中で勝手に苦しんでいたなんてのもあったけど 誰かに何かを言われたり、されたりして嫌な思いをしたことは一度もない なんか 救われ 守られ続けた そんな感じの時間だった
 同じ巡礼者や、この土地の人たちがいてくれてるだけで 素晴らしいと思えたんだし ならば どこにいようとも どの人でもいてくれるだけで嬉しいとも感じられるはずだ!  

 あ〜普通に歩いてたつもりなのに着くのが早い もう 歓喜の丘だ、この丘からはサンティアゴ大聖堂が望め 巡礼者は歓喜したという丘だ            

 今までは丘を登り切ったら  絶望するぐらいの広大な麦畑になったり、はたまた、今日泊る綺麗な町が遠くに見えたり、いっぱい丘は越えたけど、 それがとうとう

 本当の目的地が見えるようになったよ もうすぐそこなんだ!

 そして歩き慣れたこの足には 残り5キロなんてあっという間で すぐサンティアゴ町に入ってしまった あっさりとね。

 

  新市街から旧市街に変わるあたりの道でまた運命か! ジェライとアンヘルと再会した ゴンサールで飲んだのが最後だから1週間ぶりぐらいだ 彼ら二人は2日前にもう着いていて ジェライなんか家がサンティアゴから車で1時間ぐらいの町に住んでいるらしく いったん家に帰り 楽な服装で車で来ていた      
 俺が今やっと着いたのを分かったようで 「よしお大聖堂まで案内してやる 一緒に行こう!」と言ってくれた とことん縁がある  ありがとう!  旧市街は道が狭い 古い感じ


 石造りの家が並ぶ道を歩く 奥の方から少しづつバグパイプの音色が響いてきた なんかうれしい うれしくなってくる 
 音色のほうに近づくと石造りのアーチの下でバグパイプ奏者が演奏している 迎えてくれてる気がする音色 街が”よく来たな”と言ってくれてる気がする 
 アーチを抜けた広場から後ろを振り返るとそこには  サンティアゴ大聖堂が大きく佇んでいた

 

着いた

 俺は大聖堂を見上げ 自然とゆっくり深呼吸していた 周りには人が沢山いて賑やかなのに 俺は色々な思いで来たはずなのに                    

 目的としていた この瞬間が意外にも自分に静かに訪れた事が不思議だった  

 拍子抜けしているのではなく なんか心の中がスーっと静かになったような 大聖堂を見れた事で安心したというのかな? 

 たしかにあとから次々到着する他の巡礼者も 騒いで喜ぶわけでもなく 静かにこの瞬間をかみしめているように見える

 意外なまでに静かなゴールだった

 ジャライが言った「到着した巡礼者はこの石畳の広場で横になり大聖堂を見上げるんだ」それを聞いた俺はジェライ、アンヘルと共に横になってこの石畳の上から大聖堂と空を見上げる 青い空に大聖堂は映えるね サンティアゴは雨が多いと聞くけれど  今日は運がいいな!  他の巡礼者も見上げてる 今まで多くの巡礼者が ここから大聖堂を見上げてきたのだろう!  

 ひとしきり大聖堂を見た後、正面入り口から中に入り、入り口すぐにある、巡礼者が触れる柱があるんだが、長年触られ続け細くなってしまったため 今は触れなくなっている、諦めて隣の柱を触ることにした(笑)  

 つづいて一番肝心な中央のサンティアゴの像を見ようと思ったがジェライが「もうこの時間ミサも終わってるよ」と教えてくれた、ミサは朝10時からまたあるということなので 明日像も一緒に改めて見る事にしよう

 そして ジェライとアンヘルが「よし!よしお! 次は巡礼者事務所で巡礼証明書をもらおう」カモーンと言われ、彼らについて行くと大聖堂横の旧市街らしい古い石造りの家に着いた 

 上のフロアに行く階段で もう巡礼者で行列ができている でも意外と進みが早く
 すぐ受付窓口に着いた 受付のお姉さんに今までのスタンプを押された 巡礼者手帳を渡し 最後のスタンプが押され 国籍、宗教、職業などを聞かれた後、ようやく証明書がもらえた。

 

 歩いてきた経験こそが一番だが 形になると それはそれで嬉しいものだ!

 お昼はもう過ぎていたのでジェライが「飯食いに行こー!」の声 というわけで 土地勘のあるジェライお勧めのレストランに行くことになった 名前は        

 O DEZASEIS

 ここは数年前ジェライが 当時付き合っていた彼女にプロポーズして 見事断られてしまったせつない場所 だけど以来ここのシェフと友達になり 良くしてもらってるレストランだそうだ スペインは入り口は狭いけど 入ってみると広いレストランが多い

 さてじゃあチャピトーで乾杯といくかい! 「サルーーーー(乾杯)」

 ジェライ「ここのレストランも良いんだけど 俺はよく妹と日本食レストランにも行くんだ いいよな日本! 食べ物おいしいし、いつか行ってみたいよ。」

 俺「そうだよ 次は俺がもてなすよ」

 アンヘル「ところでよしおはフェニステレまで行くのか?」

 俺「もちろん行く 何より海が見たいしね!」

 ジェライ「俺 巡礼はここサンティアゴで終わらせるつもりだったけど 俺も行こうと思う」

 アンヘル「俺も明日出発して、行くつもりだよ」  

 俺「んじゃ フェニステレで再会だな!」

 ジェライ「話は変わるけど よしお 俺このカミーノで出逢った 女性に告白しようと思ってるんだ  覚えてるか? ゴンサールで飲んだ時のオランダ人女性 彼女なんだ」

 俺「オーーー!! ホントに! あの女性か いいじゃん!」

 ジェライ「明日思いを伝えようと思う」

 俺「そうか その思い 伝わるといいな!!!!」

 アンヘル「ホラ! 料理も運ばれてきたし 前祝いじゃないけど 食べようぜ!!」

 全員「OK――! サルー!」

 終わりで 始まりでもあるカミーノ ジェライにも始まるものがあるだろう!

 この後ジェライの知り合いのレストランという事もあり サービスで10皿以上相当な種類の魚、貝、ウナギの稚魚サラダ、グリルの肉、たこ料理などetc. いっぱい持ってきてくれました キッチンの奥っから 友達のシェフが、手を振ってる とてもおいしい が だいたい良くなったとはいえ 腹には応えたぜ!

 また全部ジェライがおごってくれ、申し訳ないから俺ジェライが喜びそうな日本の千円札をあげた 全然足らないと思うけど(笑)

 店を出たらもう三時になっていて アンヘルは市街にくり出すと言って消えていった ジェライは俺をアルベルゲに案内してくれる事になった サンティアゴ大聖堂の近くにあるアルベルゲはあまりキレイじゃないらしく 他の所に案内してくれることになった

 しかも車で

  最初車に乗るのを戸惑ったが ジェライがもうここはサンティアゴだ おまえは十分歩いてると 言ってくれたので乗ってみた するとレストランから400mたらずで着いてしまった 笑

 考えてみると今まで家の車や 公共の乗り物 まして自転車でさえも 1ヶ月以上乗らないで過ごした事ってあっただろうか? こういうの無くても意外に 大した事ないのかもしれないね! 

 ジェライに紹介されてきたのはアルベルゲなんだけどカトリック学校でもある場所だった中学生ぐらいの男子学生が学んでる寮の一角

 さらにここのアルベルゲは 連泊でステイできるらしい 明日は必ずミサに参加したいから2泊だな そのあとはフェニステレへ出発するし その旨をジェライに通訳してもらい 4階へ上がるジェライがバッパックを持ってくれた 相変わらず元気だね それに感謝!いっぱいありがとよ!

 上がってみるとずいぶん広い ベッド同士の間がかつて無いほど広い 小ざっぱりしている 指定されたベッドを見つけ出し、ジェライがそこに荷物を置いてくれた。 ジェライ「よしお 俺明日もサンティアゴにいるから電話くれよ!」 俺「おう! ありがとう 明日ミサに出て旧市街を見て回ったら電話するよ」 ジェライ「 OK それじゃあな!」

 毎日おなじみの洗濯してからこの学校の前にある公園で日記をしたためる

 とうとうここまで来たんだ、不思議なくらい心がスーとする

 この夜の夢はおごそかな場所だけあるせいか 死んだばあちゃんの夢を見た 普通に会話してる感じだったんだが内容は覚えていない でも明るい感じだったからいいか。

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